第5章 時間を共に過ごす side 彩花

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怜斗が嬉しそうに食べてくれた。 いつものわたしの作る味だけど、怜斗と食べると美味しく感じる。 怜斗と別れてからは、料理時間を短縮するために作り置きでおかずを作って、毎日はりしてなかった。 多忙な時期だと、食事時間がとれなくて、コンビニにおにぎりとサラダとフルーツだけを食べてた日もある。 そして、悪循環のループに入り、原稿が描けなくて、泣いてた。 後片付けを終わらせ、リビングのテーブルで勉強してる怜斗の傍で、わたしもノートパソコンを開き、執筆中の小説の続きを綴っていく。 スランプに入り、続きが思いつかなくて描き進めなかったのに、なぜか言葉が滝のように溢れて、流れるようにストーリーが進んでいく。 「彩花、10時だけど、どうする?」 夢中でノートパソコンのキーボードを奏でてたわたし。 9時に帰るつもりが、気づかなかった。 2時間も執筆に没頭してた。 慌てて、描き上げた小説を保存して、パソコンを切る。 カバンにノートパソコンを入れ、帰る準備をし、怜斗に車で、わたしの住むマンションまで送って貰う。 わたしのマンションに着き、降りようとしたら、 「彩花、今の雰囲気を壊したくないから、ファン音楽祭まで、俺のマンションで暮らさないか?彩花が嫌がる事はしないから」 わたしの手を握り、わたしを見つめる怜斗に、わたしは首を縦にふる。 明日の16時にわたしを迎えに来ると怜斗が言って、別れた。 家に入ってから、衣類などの身に付けるものと大学の教科書類と、そしてIHコンロと土鍋を持ち運べるようにした。 旅行バックに入りきらず、ダンボールに教科書類と調理器具を入れた。 冷蔵庫内の物も、冷凍できる物は冷凍し、それ以外は持っていく事にした。 1週間しか怜斗の家で過ごさないのに、こんな大荷物になるなんて…。 でも、必要だから仕方がない。
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