第5章 時間を共に過ごす side 怜斗

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彩花の扱い方は慣れてる。 中高一貫校時代に6年間側にいたから、誰よりも親よりも理解してるかもしれない。 彩花は、責任感が強く、なんでも完璧にこなしたいと思うところがある。 だから、そこをつついて、なんとか練習に応じさせた。 ファン音楽祭の番宣で、俺と彩花のコラボ曲を予告されたから、不本意でも出演しないといけないという義務感で、出演はする。 問題は、彩花のNG連発の俺とのコラボ時のパニック。 練習でなんとかなる問題じゃない メンタルが問題だから… 俺に拒絶反応を起こしている 時間をかけて俺と歌う事に慣れさせようと思い、プロデューサーに電話をしてあの高級BARのスタジオを借りた。 拒絶反応が短期間に拭えるとは思えない コラボ曲の練習時間、彩花はやはり、俺を意識し過ぎて、NG連発で泣きそうになっていた。 彩花はいつもそう… 素晴らしい作品を生み出す力はあっても、創作時にメンタルがおかしくなる。 不安定になる そこが庇護欲をかられ、可愛く思えて守ってやりたくなる 彩花を抱きしめたい衝動に駆られ、彩花に拒絶されるかもしれないけれど、提案してみた。 『ファン音楽祭が終わるまでの間だけ、昔の恋人同士に戻らないか』 彩花を抱きしめ、落ち着いたところで曲を流して歌った。 彩花は完璧に歌い、感情を込めた歌唱力は素晴らしいものだった。 俺を拒絶してると思っていたのに、意図も簡単に、俺に心を許した。
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