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最終章 2度と手放さないで side 彩花
ファン音楽祭の日が来た。
この収録が終わったら、怜斗との生活が終わる。
この日がもっと先だったらよかった。
そしたら、もう少し、怜斗と暮らせたのに。
10日間の怜斗との共同生活は、お互いのリズムが噛み合っていて、自然で、居心地がよかった。
金曜日の夕方、サクラテレビに向かう。
ファン音楽祭で、怜斗と、コラボ曲を歌いあげたら、わたしたちの関係はまた、解消する。
そう思うと、この日のために、わたしと同棲して、最高の演出をしようとした怜斗を裏切る事になる。
だから、ヘマはできない
わたしと怜斗は、話題曲だから、大トリで歌う事になってる。
それまで、控室で、月9ドラマのシナリオのやり直しを描いてるわたし。
切ない気持ちを表現したコラボ曲だから、今のわたしの心境を表現してるから、きっと、最高の歌唱力で歌えるはず。
大丈夫、出遅れや音外しはしない
出番になり、呼ばれたわたし。
舞台袖で怜斗と合流して、舞台に出る。
大丈夫、ちゃんと歌える
収録が終わったら、怜斗との別れがくる
大丈夫、ずっと1人でやってこれたんだから
泣きたい気持ちを胸の中にしまいこみ、最高の演出をしようと心に決めた。
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