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最終章 2度と手放さないよ side 怜斗
ファン音楽祭の日が来た。
起伏が激しい彩花は、今日でこの生活が終わると思って、不安定になっていた。
生放送だから、出遅れ音外しは避けたい。
俺に対する拒絶反応は拭えたから、無事に歌え切るはずと思いたい。
彩花は、木曜日の夜に、衣類と大学で使う教材等をまとめていた。
明日、収録が終わったら、出ていくつもりなんだな、と思いつつも、何も言えなかった。
俺との生活で、お互いがフィーリングが合っていて、一緒にいて居心地がいいのは感じてたと思う。
明日の収録の後、彩花に交際を申し込む。
彩花を1度、別れて傷つけた俺だけど、2度と彩花の手を離さないから受け入れて欲しい。
ファン音楽祭の生放送は、無事に大トリを務めた。
彩花と俺の息はぴったりで、歌声の共鳴はスタジオを感動の渦に巻きこんだ。
無事に収録が終わり、大物歌手に挨拶をして見送りし、スタッフに挨拶をしてから彩花とテレビ局を出てタクシーに乗る。
俺のマンションに着くと、彩花は自分のマンションの住所を運転手に伝えようとしたから、タクシーの運転手に万札をわたし、彩花の手を引き、タクシーから下ろした。
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