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「男二人だと目立つのよ……」
「そうですか。ならば、俺も行っていいでしょうか。黒羽の許可を取らないといけないけど」
そこで、思い出したかのように、久住が黒羽の事を聞いていた。
「黒羽は市来を眠らせていたよね……その間に、世界は市来が存在しなかったように
改竄され続けた」
俺は全ての人の記憶から消されてゆく。
「まあ、それも黒羽の目論見かもしれませんけど。黒羽の言うように、世界には
本当は菩薩など必要無いのですよ」
現世は生きている人が作る世界で、何も介入しないほうがいい。
でも、分かってはいたのだが、俺の記憶が新悟に無いということは、かなりショックではある。
「松下さんは自分で記憶を取り戻し、今も、市来を探している。会いに行かなくてもいいの?」
会いに行きたいが、黒羽を怒らせると、俺でも止められない気がする。
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