第五章 君を探すよ ニ

19/27
前へ
/309ページ
次へ
「男二人だと目立つのよ……」 「そうですか。ならば、俺も行っていいでしょうか。黒羽の許可を取らないといけないけど」  そこで、思い出したかのように、久住が黒羽の事を聞いていた。 「黒羽は市来を眠らせていたよね……その間に、世界は市来が存在しなかったように 改竄され続けた」  俺は全ての人の記憶から消されてゆく。 「まあ、それも黒羽の目論見かもしれませんけど。黒羽の言うように、世界には 本当は菩薩など必要無いのですよ」  現世は生きている人が作る世界で、何も介入しないほうがいい。 でも、分かってはいたのだが、俺の記憶が新悟に無いということは、かなりショックではある。 「松下さんは自分で記憶を取り戻し、今も、市来を探している。会いに行かなくてもいいの?」  会いに行きたいが、黒羽を怒らせると、俺でも止められない気がする。
/309ページ

最初のコメントを投稿しよう!

167人が本棚に入れています
本棚に追加