第二章 そのドアの向こう ニ

2/27
167人が本棚に入れています
本棚に追加
/309ページ
 夏輝は、真理子と合流していない事を願っていて、真理子には生きていて 欲しいと思っていた。 「俺は、妹の咲楽の下に弟もいて、高校生だったから連れて来なかった。 一平と亮平には兄貴がいて、結婚していて子供もいた」  でも、真理子は一人娘で、両親に溺愛されていたらしい。 「もしも、菩薩が存在するのならば、真理子は生かして欲しいと願うよ……」  だから俺が呼ばれてしまったのかと思ったが、そうでもないような雰囲気があった。 しみじみと真理子の心配をする夏槻を、一平と亮平が目を細くして、優しい表情で 見つめていた。  もしかして、夏輝を成仏させたくて、一平と亮平が菩薩を求めているのかもしれない。
/309ページ

最初のコメントを投稿しよう!