2.『メリーさん』と『貞子』

2/19
5人が本棚に入れています
本棚に追加
/97ページ
「私メリーさん。今あなたの後ろにあばばばばばああばああああああばばば」 「なに抜け駆けしようとしてるんですか。それより涼さん。私の目をみっ……!」  昨日の悪夢のような出来事から時は過ぎ、現在13時。  どうやら彼女らは、都市伝説級の化け物たちなだけあり、姿を見られた以上、相手を殺すまで殺す相手から100メートル以上離れることが出来ないらしい。だから、現状、この化け物たち二人に憑りつかれた大学生の男。ということになった。大変遺憾である。  朝から彼女達は俺のことを殺そうと、お互いのルールに則って何かしらを仕出かしてくる。例えば、先ほど貞子に背負い投げされたメリーさんは、『後ろにたつこと』『後ろに立っていると宣言すること』から、相手を強制的に振り向かせる。振り向くと同時に体は硬直状態となり、そのまま刃渡り15センチ程の立派なナイフでどこかしらを刺されるらしい。  反対にメリーさんに蹴飛ばされた貞子は、『目を見せること』が条件となっている。目を見た瞬間、目を背けることが出来なくなり、即死したのち、なんとも無残な死体が出来上がる……みたいだ。朝からこれが10回以上続いているから、なんとなく普通に殺せばよくないか。と聞いてみたところ、お互いこれが絶対的なルールになっているらしい。 「だあーもう埒が明かないじゃん!というか貞子意外と攻撃がアクティブなのなんなの!?もう!とりあえずここはじゃんけんで正々堂々決めようよ!」 「そういって負けたら負けたで3回勝負だ5回勝負だと喚いた挙句、抜け駆けして涼さん殺そうとしたじゃないですか。信じません」 「とりあえず一回落ち着いてご飯食べさせてくれませんかね!?」  朝から永遠に続いているこのやりとりのせいで、朝は9時に起こされ、殺される恐怖に何も口に出来ない状態だったが、ひとまずお互いが殺すことを阻止してくれるため、現在やっと食事にありつける。というわけである。
/97ページ

最初のコメントを投稿しよう!