【3】

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雨が降って来たが、雨宿りがてらにお客は絶えることはなかった。 麻美は英治とのお出かけを励みにし、仕事を頑張った。 あっという間に帰る時間となり、麻美はふと後ろを見ると黒のクラウンが停まっていて麻美の乗った車を追いかけるように走っていた。 麻美はドキドキしながら車から降り、車を見送ってドアを開けて帰っていった。 しばらく明かりを付けてテレビを見ていると、ノックする音がした。 ドアスコープを覗き込むと、英治だった。 麻美は周囲を確認してから、英治を招き入れた。 英治はニコニコ笑いながら「へぇー。結構しっかりした作りになってんだな」と言い、入った。 麻美が「汚くて、ゴメンなさい」と言いながら、冷蔵庫から麦茶が入った冷茶ポットとマグカップを持ってきてテーブルの上に置くと、麦茶を注いで英治に渡した。 英治は「あんがと♪汚くねぇよ。何か、The女の子って感じの部屋で落ち着かねぇけど…」と言いながら、マグカップに入った麦茶を飲んだ。 「あっ…良かったら、これ食べてください」と言い、心美から貰ったお土産のお菓子を清に渡した。 英治は「あんがと♪半分こにしよっか♪」と言いながら、半分にすると大きい方を麻美に渡した。 麻美は「そっちの小さい方でいいですよ」と言い、指を差したが英治は「もう遅い」と言いながら、一口で頬張ると笑った。 麻美もつられて笑うと「本当に社会人?ところどころ、子どもっぽいトコがあるよね?」と言いながら、サングラスを外すと麻美を見つめた。 麻美はその顔にドキドキしていると「正直に言えよ?本当は何歳なんだ?」と言い、英治はいつになく真剣な声のトーンと眼差しで見つめた。 麻美は俯きながら「それは言えません…」と涙声で、ぽつり呟くと涙をポロポロ流した。 その涙を拭いながら「…社会人じゃねぇのは、よーくわかった。アリサちゃん、ゴメンな?」と言い、英治は優しく抱きしめた。 麻美が「英治さん…!」と言いながら、大号泣をした。 それでも英治は、優しく抱きしめたまま麻美の頭を優しく撫でたりしていた。
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