1人が本棚に入れています
本棚に追加
モジャ先生は更に嫌味具合を増した口調で言う。明らかにモジャ先生は結衣に仕返しをしようとしている。プレッシャーをかけて、結衣が素直に謝ってくるのを待つつもりだろう。だけど、私にはわかる。結衣は性格上、こんな場面で素直に謝ったりはしない。
「わかりました。やります!!」
「よし。じゃあ、前に出てこい」
モジャ先生はニヤリと笑う。結衣は立ち上がり、言われたとおりに教卓の前まで行った。
「では、これをヒーリングで治してもらおう。ちゃんと宿題をやっていれば簡単なはずだ」
モジャ先生はそう言うと、シャツの袖を捲った。すると、大きな擦り傷が現れる。
「今日の一時間目のことだった。誰だかわからんが、魔法で私の頭に火をつけた奴がいてな。消そうと思って慌てて廊下を走っているときに転んで負った傷だ。まあ、誰だかわからんのだけどな」
モジャ先生のあまりの嫌味さに、私もさすがに辟易してしまう。私だけでなく、他のクラスメイトも辟易した様子で、教室のあちこちから溜息が聞こえてくる。結衣もご多分に漏れず溜息を吐き、
「じゃあ、やりますから、教卓の上に腕を置いてください」
と、抑揚のない口調で伝えた。
最初のコメントを投稿しよう!