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「今この教室で魔法を使ったのは誰だね?」
興奮しているチャビ先生は、また語尾を伸ばすのを忘れている。教室中が激しくざわつく中、結衣が恐る恐る手を挙げた。
「あのー、私ですけど」
「牧野結衣か!! いったい何の魔法を使った!? これまでどんな手を使っても生えてこなかったのに。」
「いや、ただのヒーリングですが」
「ヒ、ヒーリングだと? そんな手があったのか!! これは驚くべき発見だぞ!!」
「は、はあ……」
チャビ先生のあまりの興奮に、教室中が引いている。結衣の顔もヒクヒクと引き攣っている。
「とにかく、牧野結衣、君は天才だ!! 君は縦浜国立大学志望だったな? あそこは私の母校だ。いくらでも推薦してやる!!」
「本当ですか!?」
結衣の顔が緩む。
「もちろん本当だとも。それから、さっき出した宿題も帳消しだ!!」
「やったー!! 先生ありがとう!!」
結衣は満面の笑みを浮かべて、チャビ先生に抱きつく。そんな様子を、モジャ先生は教室の端で恨めしそうに眺めていた。
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