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隣の教室からけたたましい悲鳴が響いてくる。それに続いて、大きな笑い声が聞こえてくる。私達の教室の中も、何事かとざわつき始める。
「水ー、水をくれー!!」
廊下から叫び声が聞こえ、クラスメイトは一斉に声のした方に視線を向ける。そして、次の瞬間、爆笑が起こった。隣の教室で授業をしているはずの白魔法学のモジャ先生──チャビ先生とは対照的に髪の毛がモジャモジャなことからそう呼ばれている──が、頭に火を灯して廊下を疾走していたのだ。その光景に、私も一瞬笑ってしまったが、その原因を考え、溜息を吐いた。
チャビ先生はそんなモジャ先生の様子を見て、慌てて教室を飛び出し、その後を追ってゆく。きっと、水をかけて消火してあげるつもりなのだろう。
私は立ち上がり、結衣のところまで行く。
「今のって、絶対に結衣のせいだよね?」
「やっぱり? テヘッ」
結衣は小さく舌を出してみせる。
「テヘッ、じゃないわよ!! ワザとだったら大問題よ!?」
「ワザとなわけないじゃん。だいたい、チャビが私を指名したりなんかするからいけないのよ。私がそんな難しいことをいきなりできるはずないじゃん」
「教科書レベルのことだし、大して難しいことじゃないでしょう?」
「優等生の穂香には簡単かもしれないけど、私には難しいの」
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