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と、美月は呆れた表情を浮かべる。それから、美月は結衣の弁当箱からウィンナーを一つ摘み、口に放り込む。
「モジャの奴さ、すっごく怒ってたよ。もうカンカンで、あの後、まともに授業にならなかったんだから」
「そんなに怒ってた?」
「うん、相当ね。午後から結衣も白魔法学の授業があるんでしょう? 気をつけた方がいいよ。何か仕返しされるかもしれないから」
「そんなっ!! 脅さないでよ」
結衣の顔がヒクヒクと引き攣る。そこで私は会話に割って入った。
「白魔法学といえば、結衣、ちゃんと宿題やってきてるよね?」
「え? 宿題?」
結衣は全く覚えていないという様子で首を傾げる。
「先週の授業の最後に宿題が出たでしょ? ヒーリングの原理に関するレポート」
私の言葉に結衣はハッと思い出したような顔をする。
「ヤバイ、やってないよ。どうしよう、穂香様」
「どうしようって言われても……」
「う・つ・さ・せ・て」
結衣は顔の前で手を合わせて言う。こうなることは十分に想像できていたことだが、ここまで来ると心底呆れざるを得ない。
「結衣、写させてあげたいのは山々だけどね……」
「ダメなの?」
結衣は態とらしく泣きそうな表情を浮かべて見せる。
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