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「ダメじゃないけど、私のレポート、四百字詰め原稿用紙に換算して四十枚分もあるのよ。今からじゃ写すの間に合わないよ?」
「えーっ!! どうしよ、どうしよ!!」
結衣が本格的に慌て始める。そんな結衣を見ながら、美月が、
「素直に謝れば? 今日だけは絶対に許してくれないと思うけどさ」
と言って、ケラケラと笑う。結衣はこの世の終わりというような表情を浮かべているが、これだけはどうしてやることもできない。
そうこうしている内に、昼休みは終わりに近づいていく。結衣は、昼食を切り上げて、クラスメイトに次々と声をかけて回っているが、宿題を写させてくれる者はいないようだ。そして、予鈴が鳴ったところで、結衣は諦めたらしく、大人しく席についた。
本鈴とともに、モジャ先生が教室に入ってくる。モジャ先生の髪は、遠目に見てもわかるくらい焼け焦げて、チリチリになっている。そんな姿を見て、教室中が笑いを必死に堪える。モジャ先生はそんな雰囲気に気付き、険しい顔つきで教室を見回す。そして、結衣に視線を定めると、怒りに満ちた表情で睨みつける。結衣はそんな視線に耐えきれず、顔を背けてしまっている。
モジャ先生は教壇に立つと、いかにも不機嫌そうに、
「それでは全員、宿題を提出しなさい」
と命令口調で言う。
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