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Magical JK
春の優しい風が桜の花弁を運ぶ爽やかな朝、私はいつもどおりの時間に通学する。通学路の桜並木は、風が吹くたびに淡いピンクの花弁がハラハラと舞う。綺麗だなと思いながら桜の木を眺めながら歩いていると、突然、背中に何かがぶつかってきた。
振り返ってみると、クラスメイトの牧野結衣が立っている。
「ちょっと、結衣。朝から何よ。痛いじゃん!!」
「あはは、ごっめーん」
「ごめんじゃないわよ、まったく」
私が頬を膨らませると、
「まあまあ」
と、私を怒らせた張本人が笑いながら宥める。その姿にすっかり怒る気も失せてしまった。
「それで、朝からいったい何なの?」
「あのさ、ちょっと訊いて見るんだけど……黒魔法学の宿題やった?」
「もちろんよ」
「マジで!! やった!! 学校着いたら写させて」
「は? あんたこの前、白魔法学の宿題も写させたばっかりじゃん……」
「いやー、昨日、面白いドラマやっててさ。ついついラストまで見ちゃって、うっかり」
「うっかりじゃないわよ、まったく……」
私が溜息を吐くと、
「お願いします、穂香様。今回だけでいいですから」
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