あめ

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「う、さ、、うき、さん、、うづきさん、、、雨月さん!」 「あぁ、遠野さん。どうしました、、?」 その人は雨が降るとこうなる。 俺の家の目の前にある小さな公園。この頃の子供は外で遊ばないのかいつも静かだ。 今日も雨が降った。 カーテンを開けるとやっぱり。すでにこの人はブランコに猫背になって座っていた。 なにをするわけでもなく、ただぼーっと。 「風邪引くって何回言ったら分かるんすか」 持ってきた鮮やかなブルーの傘を雨月さんの上にかざした。 うん。そうだね。 そんなことを呟いたかと思うとまたぼーっとする。 俺という存在がないかのように、その向こうの景色を見ている。 はぁ、またかよ。 この人は一度雨が降るとテコでも動かない。最長記録は六時間半。一時あがればもうこっちのもんだが、雨が降り続けばなにもしない。 ぼーっと、ぼーっと、ぼーっと。
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