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深夜営業の店には疲れ切った人々の姿があったけれど。
だれも僕以上に悲壮感を湛えた人間はいなかった。
そりゃそうだろ。
一番愛している人が僕の為に人を殺めたかもしれない。
そして一番愛している兄がそれを促した。
もう一人の兄は狂ったようにうずくまって泣いていた。
まだ善と悪の狭間で彷徨っていた旧友を
完全に壊してしまったからだ。
そして恐ろしいことに
そのどれも引き金を引いたのは僕だ。
どうしてルカの心臓ともいえる逆さ十字を
僕は彼から切り離したりしたのだろうか。
そこまで彼が憎かった?
いや違う。
僕が憎んだのは神だ。
現に今も僕は震えるほど憎んでる。
助けてくれよ。
何のために皆苦しまなければならない?
なら何のためにこんな世界に放り出した?
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