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そうなのか?
悪いのは僕なのか?
救えるのに救わなかった征司じゃなくて
僕なんだろうか?
言葉に詰まった僕の手を
征司から引き離したのは他でもない九条さんだった。
「僕は自首する」
「九条さん……!」
彼の声に迷いはなかった。
「自分のしてしまった事に責任を取る。だけど――」
九条さんは征司に目をやり
再び僕に視線を戻すと
「さっきと同じ状況になったら僕は何度でも同じことをするだろう」
力いっぱい
僕の身体が折れるほど抱きしめた。
「だけどそれは僕の為にすることだ」
長い指がいつもみたいに優しく僕の髪を梳く。
頭を撫で額に口づけて
「泣かないでmon petit chaton――すぐに戻るから」
そして少しずつ離れてく。
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