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完全な意気消沈。
大切なものを一度に失った。
もう家にも帰れない。
僕は――一体どこへ向かえばいいのか分からなかった。
それでただ冷え切った体を引きずるように
真夜中のコーヒーショップへ。
落下してゆくルカの姿。
温かいコーヒーを手にしても凍えた身体が震える。
果たして彼は本当に悪だったのだろうか?
突き落とした九条さんは?
事態をただ見守っていた征司は?
すべてを引き合わせた僕は?
すっかり分からなくなった。
本当は誰も悪などではなく。
本当はみんな――。
救われるべき人間だったのかもしれない。
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