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 相変わらず、夕方、帰宅するとインターホンが鳴って、ランドセルを背負ったあおいが部屋にやって来る。あおいはほぼ毎日に近く、行幸の部屋に入り浸っている。  ――親が知ってるんだとしたら、絶対、止められてるよなあ。あおい、親に私のこと一切話してないんだな……。  行幸も行幸で、あおいのことは特に誰にも話していない。わざわざ言うことではないし、言ったら言ったで、不審者と思われるのは確実だろう。  秘密の共有、ということでいいだろうか。 「……僕たちは共犯だから」 カメラ越しに、あおいに向けて呟いてみる。あおいは黙って首を傾げている。行幸の声を聞き取れなかったのか、聞こえていても言っていることがピンとこなかったのか。  別に、いいよ。頭で分かってなくても、あおいが自分の共犯になることを選んでくれてるのだとしたら、うれしい。  行幸とあおいは同じ空間にいるが、行幸があおいにカメラを向けている時の他は、大抵各々勝手に過ごしている。行幸の方は大抵パソコンに向かっている。 「……それ、何してるの」 こういう時あおいは大人しくほとんど何も話しかけてこないのだが、珍しく行幸のしていることに興味を持ったようだった。     
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