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 あの時、あおいに流されてそのTシャツを捲ってみるべきだったのか。  ――いや。知ってしまうのは、怖かった。知らなくていいと思った。  どんなあおいが、どんな行幸のことを好きになったのか、それは分からないが、考えても仕方ないことのような気がした。あおいが自分のことを好きになってくれた。その事実だけでいいではないか。  走りながら、叫び出しでもしたいくらいだった。足を止めると、息が切れて、意識が一瞬遠のいた。苦しかった。このまま死ぬんじゃないかと思うくらい苦しかった。
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