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 あれから、万葉と井岡はつき合い始めた。  いつも自分の味方でいてくれる万葉が好きな人と幸せになってくれればいいと、本気で思ったから、だからあの時万葉の背中を押したのに、そして井岡のことはもう好きではないはずなのに。  なのに、どうしてだろう。  並んで歩く二人を見ると、デートの様子を投稿したインスタグラムを見ると、井岡の家に泊まったという万葉の話を聞くと、どうしてこんなに、苦々しい気持ちになるのだろう。  これが私の心の狭さなのかな、と思う。そして醜さ。  本当は、井岡のことをまだ全然諦められてなくて、今でも井岡のことが好きだからではないか。  そう結論づけることには、何か違和感があった。そんな煮え切らない覚悟のまま、あの時万葉に、井岡先輩のところに行ったら、と言ったのではない。  そうじゃない、のだとしたら――。  行幸は漸く気付いた自分の気持ちに、思わず息が詰まった。それがあまりにも、残酷な結論だったから。     
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