4/5
7人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ
顔を赤らめた万葉に怒られた。万葉は背も高くスタイルがいい。私なんかよりもよっぽどこういう恰好が似合うんだろうな、と行幸はぼんやり思う。  万葉とは、一年前大学に入学して、この映画研究会に入って出会った。サークルに入っても、なかなか周囲と話せずにいた行幸と対照的に、万葉は最初から誰とでも物怖じせずに話せるタイプのようだった。 「あれっ、まだ話してなかったよねー?何ちゃんだっけ?」 「……伊東(いとう)行幸」 「行幸、ね!あ、私は倉(くら)掛(かけ)万葉でーす!よろしくっ」 「……」 「……ぶっ」 「え、何、急に吹き出して……」 「いや、ごめんごめん、はは、行幸って超マイペース!めっちゃ面白い!」 行幸が黙っていたのは、たしかに人と会話するのが苦手だからというのもあるが、あまりに呆気に取られていたからである。行幸には、自分は周囲からとっつきにくいと思われているだろうなという自覚があった。その行幸に普通に話しかけてきた。  この子、なんかすごいな。  そう思ってから、なんとなく万葉を頼ってしまって、彼女の後ろにいて守られるようになっている。実際、万葉はこんな性格の行幸の面倒を見て、かばってくれることもしばしばなのだ。ほんと万葉は行幸の保護者だね~、とサークル内でも評判である。     
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!