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 それでも万葉には、行幸がコミュ障で愛想がなくとも、決して弱かったり頼りないわけではないことがちゃんと分かっていた。だって、ちゃんと自分を持っている人間でなければ―― 「それじゃ行幸、私はこの辺で。3限、今日こそ出席取る気がするんだよね~」 「あ、うん」 サー室のドアを開けて出て行きかけた万葉が、ふと足を止めて振り返る。 「?」 「でも行幸、そのかっこ、似合ってるって思ったのはほんとだから」 万葉を見上げる行幸の瞳は、万葉をその中に入れ、輝きに細かく揺れていた。
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