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「映画研究会……それで、カメラ」
「そ。ちょっと見て行ってよ」
「あ、でも……」
私、映画とか全然詳しくないし。特別興味があるってわけじゃ……。
というか、そういえば何のサークルに入るかなんて全然考えてなくて、どこかのサークルに話を聞きに行くというのはこれが初めてだった。最初から大学ではこれをしたいというものがあって入ったわけでは勿論なく、漠然と何かのサークルに入った方がいいような気はするが、これといって興味を惹かれるものもこれまで見つかっていなかったのである。
「僕は井岡っていいます。2年だから、1個上、やね」
井岡も東京生まれではないのか、どこのものかは分からないが、少し訛っている。
「私、は、伊東、行幸、です……」
「きみも、東京じゃないよね?」
「え、分かるんですか?」
……なんだ、私、一目で分かるほど、そんなに野暮ったかったかな……。
映研のブースには他にも何人か先輩がいたけれど、気づけばずっと井岡と話していた。
――私みたいな話しても何の面白いものも出てこなそうな新入生より、もっと他の明るそうな子と話せばいいのに、なんだか悪いな。
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