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日がすっかり傾いたくらいの
食卓に並べられた三人分の食事が、とても不気味だった。
「こだまちゃんはいらないって言うんだけどね、何も用意しないのも心苦しくてね」
そう言うと祖母は、みっつのお茶碗に炊きたてのごはんをよそったのだ。
僕はぽっかりと空いた空間に用意された三人目の食事のせいで、噛んでも噛んでもごはんの味がしなかった。
祖母はずっとそのぽっかりと空いた空間に向かって話しかけ続けていた。
それが、僕には怖くて仕方なかった。
食事を終えるとすぐに、あてがわれた亡くなった祖父の部屋にいった。
テレビのない部屋っだったから、戻ったところで何もできることはなかった。座用の木製の机と、背丈ほどある本棚にぎっしりと本が並べられていた。
教科書で見たことあるような文豪の名前が背表紙に書かれていたりもしたけれど、僕はあまり読書には興味がなかったので、本があったところで何にもならかなかった。
「ちょっといいかい」
祖母の声だった。
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