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「庭にあるあの木は、軽く樹齢五百年を超えている、気が付くと木の精霊となり、私たちかの家族を見守ってくれているんだよ」
「ほら、彼女がそうだ」
僕がまだまだ子どもで、おばけが怖いとかそんなことを言っては両親や祖父母に笑われていたくらいのことだった気がする。
祖母が見せてくれた写真は、そのとき祖父が見せてくれたものと同じように感じた。
ーゴロゴロゴロ……ー
空が呻るように鳴り始めた。そうかと思うと、さあさあと雨が降り出した。
そう言えば、昼から空模様は怪しかったけれど、こんなにも天気が悪化するとは思ってもみなかった。
大きく光ったかと思うのと同時に、大きな音がした。
「近くに雷が落ちたみたいだね」
「そうね」
すると、カーテンを閉めている窓の向こう側が奇妙に明るくなった。
カーテンを開けると、燃え盛るあの庭先の大木が目に飛び込んだのだ。
「こだまちゃんっ」
祖母は悲鳴にも似た声を上げた。
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