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研究室の電話が鳴る。
深井「はい。…ああー、それなら出来てます。取りに来てもらえます…はぁ?…はい……はい……解りました…。」
新たな合成麻薬のサンプルをわざわざ実験室まで持って来いって……。
空……。
一人で待たせるのは、寝てる時だけだった。
今、完全に起きてるし、すぐ寝ろって言っても寝れるワケないし…。
深井「…空。」
黒木「……ンー?…」
深井「…ちょっと今から少し空一人になるけど、待てるか?」
黒木「…どれくらぃ―……?」
首を傾げながら空は、私の目をジッと見る。
深井「10分くらいだ。この時計の長い針が5になるまでに、戻ってくる。」
時計をジッと見て、空は、うなづいた。
良かった。
ちゃんと解ってるな。
深井「絶対に、この部屋から出るなよ。誰かが扉を叩いても開けるな。…約束出来るか?」
空は、少しぅーん?って感じでまた首を傾げたが、
黒木「…ぅん。」
心配だが、ただ渡すだけだし。
大丈夫だ。
そう信じて、私は、空の頭を優しく撫でた。
扉を閉める時に見た空の表情は、いつもと変わらない感じがした。
幼い子供が親と離れる時の不安など、大人になった私は、忘れていた。
私は、まだ誰にも話していなかった。
聞かれもしないし、ある程度大きくなって、今ある環境を理解出来るようになってからでも、私の子と言っても大丈夫だ。と。
黒漆が思うほど、仲間意識とは、そんな甘い意識ではない。
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