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びっくりして腰抜かしそうな私に、
「十三まいりの日に俺は自分に誓ったんや、絶対に俺が萌香を幸せにするって。お前『幸』って書いたやろ?」
私はわけがわからんかった。
「おまえを騙して振り返らせてしもたから、絶対に俺が幸せにせなあかんって思った」
そんなこと知らんかったし、少しは賢くなってた私は
「そんなんもうええし。責任とって付き合ってもらわんでもええよ」
とちょっとがっかりしながら返した。
「そんなんちゃう!俺はずっと萌香のことが好きやった!好きやったけど、なんかイケズしたなって」
12歳の頃より30センチ以上背が伸びた17歳の保の顔が、私の上の方で赤くなっていた。
あれからずっと付き合ってるけど、静ちゃんが結婚して離婚する間も私らはまだ前提のまま。七年の前提期間って長すぎた春とか言うんちゃうん?
目の前でクルクルと器用にフォークを動かしている保を見ながらそんなことを考えていたとき、
「しかし、さすが静やな」
保が私の方を見ずに言う。
「さすがって?」
私も保の作ったアラビアータを食べながら聞いた。
「あの十三まいりの日な、静、振り返れへんかってんで」
保はいきなりそんな昔話を始める。いや、あのとき静ちゃんは隣に来てくれた。私の手を握ってくれた。
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