アルス・アマトリア4

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 何かあったのか、と秋也は玲の肩を抱いた。  腕の中の玲は、くたんとして弱弱しい。  そして、僕は独りで年をとるんだ、とつぶやいた。 「若くてきれいな時は、みんなちやほやしてくれる。でもね、年をとると、きっと誰も見なくなる」  そして、この忘れな草とは違って、好きな人の種を残すこともできないのだ、とうつむいた。
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