【序章】ペット資格認定試験

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 実は、裕介自身は試験と名のつくものが苦手であった。昔からペンと答案用紙を目の前に出されただけで、全身に緊張が走り、冷や汗が止まらなくなる。そのせいで、高校受験も大学受験も、受験と名のつくものはことごとくうまくいかなかった。  これが “ 試験 ” ではなく、 “ 検定 ” であったならば、裕介もさほどは緊張しなかっただろう。  しかし、裕介の不安は杞憂(きゆう)にすぎなかった。  会場に着いてすぐに、大きな立て看板が祐介の目に入った。 そこには 「2030年3月24日(日)ペット資格認定会場はこちら。(注意:筆記試験は行いません。)」 と書いてある。 《あ…大丈夫そう》  裕介は意気揚々(いきようよう)と試験会場に到着すると、同じく資格試験を受けに来た、いくつかある受験者の列の1つに並んだ。
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