【序章】ペット資格認定試験

7/8
前へ
/8ページ
次へ
「あ、いや…それは…」  鷲尾は随分と歯切れが悪そうに話すと、周囲をちらちらと気にし始めた。その様子に、不審に思った会場の警備と見られる男数名が、すぐに鷲尾の周りを取り囲んだ。 「何か問題でもございましたか?」と、警備の男のうちの1人が鷲尾の腕を(つか)んだが、鷲尾はふるふると(かぶり)を左右に振ると、 「あんた、兎束さんよ。わしは何も話しとらんよな?な?なあ?」 と、必死な形相で裕介に(うった)えかけてくる。実際に、鷲尾は何も話していないため 「ええ、何も聞いておりません。警備員さん、私は何も聞いていません」 と答えると、ようやく鷲尾の腕を掴んでいた警備員は腕を離し、軽く2人を(にら)み付けると、裏口からどこかへと帰っていった。 「鷲尾さん、どうやら私がおかしな質問をしたみたいで…本当に申し訳———」 「あんた!もう、わしのことは放っておいてくれ!」 と裕介が謝罪をしようと頭を下げかけたところで、鷲尾は大きく叫び、裕介とは別の列に並び直してしまった。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加