お昼休み

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お昼休み

お昼休み。有馬奏楽は親友の村雨美穂とともに文芸部の部室に走った。 「美穂、急いで!場所とられる!」 「もう…お花見で場所取りして争う人じゃないんだからさ…」 駆け込んだ部室は案の定、誰もいなかった。 「よし、いっちばーん!」 嬉々とした表情を浮かべ、奏楽は小さな箱を手に取った。 中に入っているのは色とりどりの札たち。 すなわち五色百人一首の札だった。 「何色でする?」 美穂に問われ、奏楽は首を捻る。 しばらく考えたあと口を開いた。 「ピンクは?私、ピンクがいい」 「えー、奏楽ピンクの札得意でしょ。私負けちゃう」 そういいながらも美穂は箱からピンクの札を取り出した。 優しいね、美穂は。 「じゃ、始めよっか」 「うん」 録音したデータを再生する。 まずは序歌から。 「難波津に 咲くやこの花 冬ごもり・・・」 ふうっと美穂が息を吐く。 と 「すみませーーん」 部室の扉が開かれる。 「ふえっ」 奏楽の口から情けない声が漏れた。 「小倉センセーいませんかーーっていないか」 のんびりとした声とともに入ってきた人を見て、奏楽は言葉を失くし美穂はにやついた。
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