一人ぼっち

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一人ぼっち

 寒かった冬が終わり爽やかな風が吹き始めると川沿いに立ち並ぶ木々の小さなつぼみが一斉に開きだし、桜の花が綺麗に咲きほこる春が訪れる。  小学校六年生の健太は学校へと続く少しデコボコアスファルトの川沿いの道を、自然のリズムを奏でる水の音に合わせるかのように軽快な足取りで走っていた。  そんな景色と吹き抜ける爽やかな風は、幼い健太の心でさえもワクワクさせていた。  いつも元気で明るく、サッカーが大好きな健太の周りには笑顔が絶えなかったが、でも二年前、そんな健太の元気姿を想像出来た人はきっといなかっただろう。        あの人を除いては。  四年生の途中で転校して来た健太は、なかなか学校になじめなく友達も出来なくて、いつも一人ぼっちで校庭の隅っこに座り、皆が楽しそうに遊んでいるのを寂しそうに見ているだけだった。  そんな健太が見つめる校庭には、今日もいつもと同じように皆の楽しそうな声が響いていた。  「あ、加藤先生だ。先生一緒にサッカーやろうよ」  加藤先生は健太のいる四年二組の担任で、サッカーがすごく上手な人気者。校庭でサッカーをして遊んでいた子供達が加藤先生の周りに集まって来るのもごく自然な光景だった。  「いいぞ、それじゃ今日はミニゲームでもやるか。今ここにいるのは全部で七人か、あと一人いればいいな」  加藤先生が辺りを見渡すと校庭の隅で一人つまらなそうに座っている健太の姿を見つけ、集まってきた子供たちの中にいた高橋亮太を呼ぶと、健太を誘うように話したが、それまでニコニコしていた亮太の表情はすぐに曇ってしまった。  四年生の中でも目立って体が大きく六年生や、それこそ中学生の中に混ざっても分からないような、クラスのリーダー的な存在の亮太だったが、健太のことになるといつも嫌そうな顔しかしなかった。 「先生、健太は誘っても来ないよ。それにサッカーへたくそだから一緒にやってもつまらないんだよ」  「誰だって最初からサッカーの上手な人なんかいないだろ、それに山崎くんが転校してきた頃はよく一緒にサッカーやっていたじゃないか」    加藤先生にそう言われシブシブ健太の所に行った亮太だったが、少し話すとすぐに一人で戻って来てしまい、「先生、健太サッカーやりたくないって」と言うと、先生から逃げるように他の友達の方へ行ってしまった。  きっとろくに話しなんかしていないのは加藤先生には分かっていて、「山崎くん一緒にサッカーやらないか」と大きな声で呼んだが、健太は立ち上がろうともせずうつむいていた。  「先生休み時間終わっちゃうから早くやろうよ」。加藤先生の周りに集まっていた子供たちは、健太のことなど気にもせず遊びだしていたが、でもそれはいつものことで、加藤先生がどの子に健太のことを聞いても「健太は何も話さないから一緒に遊んでいてもつまんないんだよ」と、子供達が言うのはこんなことばかり。なんとかしないと…、といつも考えていた加藤先生は、校庭で楽しく遊んでいる子供たちと、一人校庭の隅で座り込んでいる健太の姿を見つめながらそんなことを一人言のようにつぶやいていた。  そんなつまらなそうに一人でうつむいている健太に、誰かが自分のことを呼ぶ声がしたので、顔を上げると校舎の方から一人の男の人が歩いて「健太こんな所で何しているんだ、皆と一緒に遊ばないのか」と、その人はニコニコしながら話しかけてきたのを見て、一瞬笑顔を見せたけれど、黙ったまますぐにうつむいてしまった。  なかなか友達と一緒に遊ぶことが出来ない健太は家でもよく「学校がつまらない」と言っているそうで、そんな健太のことをお父さん、お母さんも不登校になってしまうのではと心配していたけれど、それでも毎日ちゃんと学校に来ていた。それは、健太には学校にただ一人大好きな人がいて、その人は学校の給食室で毎日美味しい給食を作ってくれる、学校の皆に“給食のおじさん”と呼ばれている人だった。  健太は休み時間になると、校舎の隅にある給食室によく来ては、窓の外から給食室をのぞいていて、給食のおじさんも「今日はカレーだぞ」なんて優しく声をかけると、少しだけ見せる健太の笑顔を見るのを楽しみにしていた。 「キ~ン コ~ン カ~ン コ~ン」 休み時間が終わるチャイムが鳴り、教室に戻ろうとする健太に、給食のおじさんは「今日の給食はナポリタンだぞ」と声をかけると、健太は振り向き少しだけ笑顔を見せたが、そんな健太の後ろ姿を給食のおじさんはずっと見つめながら「大丈夫、大丈夫だから頑張れ健太」と心の中で叫び続けていた。  六時間目が終り、帰る前に加藤先生がクラスの皆に、学校の皆が可愛がっているウサギ飼育当番が今月は二組だから日直の人は朝と帰る前に必ずウサギにちゃんとエサをあげるようにと話していた。  「ハーイ」教室には子供たちの元気な声が教室に響き、「先生さよなら」と子供たちは元気に返事をすると走り出すようにランドセルを背負い帰り出したが、加藤先生は一人で帰ろうとしている健太を呼び止め、「山崎くん、今度休み時間に皆と一緒にサッカーをやろうよ。今も高橋くんが校庭でサッカーをやっているから前みたいに入れてもらったらどうだ」と誘ったが、健太は小さくうなずくだけで何も言わずに教室から出て行ってしまい、校庭で亮太が上級生の子供達にも負けずに広い校庭を走り回っている姿を少しの間立ち止まり見てはいたが、すぐに歩き出し家に帰ってしまった。そんな健太の後ろ姿を、校舎の隅で加藤先生はずっと見ていた。  「加藤先生、お疲れ様です」振り返ると、そこには給食のおじさんが立っていた。  「お疲れ様です、今帰りですか」  「はい、色々片付けをしていたらこんな時間になっちゃいましてね。健太ですか、加藤先生も色々大変ですね」  「大変だなんて、そんなことないですよ。でも、どうすれば山崎くんが皆と仲良く出来るのか、正直悩んでいます」  給食のおじさんも健太の後ろ姿を見つめながらうなずいていた。  「私も健太のことはずっと気になっていますけど、でも加藤先生あの子は大丈夫ですよ、まだ少し時間はかかるかもしれないけどね」  「そうですか…、でもこの学校で子供たちの一番の人気者の給食のおじさんにそう言ってもらえるとなんだかすごく安心出来ますよ」  「一番の人気者だなんて止めてくださいよ、加藤先生」  二人は健太の後ろ姿を見守るような思いで見つめていた。    その日の夜、健太はお父さんが仕事から帰って来るとテレビを観ていた。  「ただいま健太。またこの前のサッカーの試合のビデオ観ているのか。でもこの試合は凄かったからな。お父さんも三回観たよ。そうだ健太、そんなにサッカーが好きだったら今度の日曜日にサッカーボールを買いに行くか」と、着ていたジャケットを脱ぎながら言ったが、健太は一瞬嬉しそうな顔をしたものの、テレビを観たままハッキリと返事をしないので、健太を心配そうな目で見ながら台所へ行き、夕飯のしたくをしているお母さんに「まだこっちの学校に転校してきて友達が出来ないのか」と寂しそうにしている健太を見ていた。  「そうね、担任の加藤先生からも、家での様子はどうですか、なんて電話もらうけどね」 「でも転校して直ぐにサッカーチームに入りたいなんてよく言っていたじゃなか」 「いじめられているわけじゃ無いけどね、高橋亮太くんっていう凄くサッカーの上手な子がいるのよ。転校してきて健太もサッカー好きだからすぐに仲良くなったみたいなんけど、あの子テレビではよくサッカー観ているけど、実際にやったことはあまりないじゃない。前に学校で一緒にサッカーをやった時に亮太くんに「下手くそ」なんて言われたみたいで、それ以来一緒にサッカーをやりたがらないみたいなのよ。もともとおとなしい性格の子だからなかなか友達が出来ないみたいで」  「その高橋亮太くんはそんなにサッカーが上手なのか。でもまだ小学生だろ。いくらなんでもそんなに差はないだろう」  「それがそうでもないのよ、体もずば抜けて大きくて今中学生の中に混ざっていたって分からないような子なのよ。それに聞いた話だとサッカーも凄いらしくて、Jリーグのジュニアユースのチームの人が見に来ていたって噂よ。そんな子に下手くそなんて言われちゃったから自信無くしちゃったのかな」  「そうなのか可哀相だけど、どうしてやればいいのかな。いい物件があったから頑張って家を建てたけど、結果として転校することになっちゃったからな」  「でも学校の先生達も周りの人達もすごく協力的でいい人ばかりなのよ。皆さん健太のことを気にしてくれているの。確かに今の健太を見ているのは辛いけど、健太くんなら絶対大丈夫だって言ってくれているのよ」  「そうか、お前がそう言うなら安心だけど、もう少し様子を見るしかないのかな」 誰もが今は健太を見守るしかないと思うしかなかった。    次の日学校が終わりいつものように一人で家に帰ろうとしていると、誰かが健太を呼ぶ声に校庭を見ると亮太と、五年生の祐樹が歩いて来て、「健太、これから皆でPK戦やるけど一人足りないから入れよ」と誘ってきた。健太は突然のことにビックリし、何て返事をすればいいのか迷ってしまっていた。    朝日小学校の子供達は一年生から六年生までサッカーをしている子供が大勢いて、この地域を中心とした『サンライズFC』というクラブチームもあり、健太の担任の加藤先生もそこのクラブチームのコーチの一人だった。  「健太、お前転校して来た頃はよく一緒にやっていたのに何で誘ってもやらないんだよ。それにサンライズFCにだって入るって言っていたのに何で入らないんだ」  祐樹はサンライズFC五年生チームのキャプテンで、去年の大会ではチームで初めて決勝戦まで進んだ。その時は惜しくも負けてしまったが、その時の準優勝が今までのサンライズFCの最高の成績で、その大会で大活躍をしていた祐樹もそれ以来少し得意げになっていて、そんな祐樹に言われ健太は黙ったまま亮太のことをチラチラ見ながらも何も言えなく、モジモジしている健太を見ていてじれったくなったのか、「いいから早く来いよ」と祐樹は強引に健太の手を引いて皆の所に連れて行った。  そこに集まっていたのはサンライズFCでサッカーをやっている五年生の子供達で、健太がサッカーを下手なことも知っていたので、薄ら笑いをしていた。  「健太はまだサッカーをやってないから俺と同じチームな、亮太はそっちのチームで、ゴールキーパーはちょうどの和也と隆司がいるからそれでいいな。後はジャンケンで決めろよ」  祐樹は集まっていた十人の子をゴールキーパー含め五人のチームに分け、蹴る順番はそれぞれのチームで決めさせたが、健太と同じチームになった子は健太がいるから勝てるわけないと、始める前からもう嫌そうな顔をしている中PK線は始まってしまった。    最初はゴールキーパー同士の対決。和也と隆司はサンライズFCでもずっと二人でレギュラー争いをしていたが、相手が強い時の試合に出ているのは必ず隆司だったので、和也にとっては遊びでやるPK線でも絶対に隆司には絶対に負けたくないと思いが強く、同じ学年でゴールキーパーをやっている隆司も和也には負けたくないという思いは一緒だった。    実はこの前の練習試合で二人はそれぞれ、隆司は前半、和也は後半試合に出たが、本来はレギュラーの隆司だったが、前半だけで四点も取られてしまったのに対して、この日好調だった和也は後半を0点に抑え、試合後皆が口を揃えて言っていたのは「前半も和也がキーパーだったら勝てたじゃないかよ」と言われ続けてしまい、隆司は悔しい気持ちでいっぱいだったので、たとえ遊びでやっているPK戦でも絶対に和也には負けたくなかった。隆司はゴールの前で両手を大きく広げて和也をずっと見ていた。和也はボールを置くと少し後ろにさがり、祐樹がホイッスルを鳴すと助走をつけ、おもいっきりボールを蹴ったが、少し力が入りすぎたのか蹴り損ねたのかボールは力なく転がると、そのボールに隆司は飛びつき止めると隆司は小さくガッツポーズをし、そのままボールを持って和也と入れ替わった。そしてボールを置きホイッスルが鳴ると隆司が蹴ったボールは、和也の指先をかすめて勢いよくゴールに入った。  ハイタッチをして喜ぶ隆司と亮太、放課後遊びでやっているPK戦が、隆司や和也の余りにも真剣な姿に皆も驚き、すごく盛り上ってきてしまい、ますます白熱していくPK戦に、自分の順番が近づいてくる健太の胸の中のドキドキは激しくなる一方だった。  そして今にでも逃げ出したいと思っている健太に蹴る番が回り、もう健太の足はガタガタ震えていて、おまけにここまでの勝負は三対二で、健太がここで決めておかないと、次に蹴る祐樹がゴールを決めてしまった時点でチームの負けは決まってしまうという最悪の場面。  健太はテレビで観るのは大好きだったのでルールには詳しく、自分の次に蹴る祐樹がシュートを外すとは思えず、そうなると亮太は何もしないまま負けてしまうというそのプレッシャーで押しつぶされそうだった。  緊張でガチガチになってしまっている健太はホイッスルが鳴るとは助走をつけ、おもいっきりボールを蹴ったが、完全にボールを蹴り損ねてしまい、ゴールとは全然違うところに転がって行ってしまった。  「なんだよ、健太ちゃんとやれよ」 せっかく盛り上がっていたPK戦だけに健太の蹴り損ねた弱々しシュートにシラケテしまい、もう健太はそこから逃げ出したい気持ちでいっぱいだった。  最後に残った祐樹と亮太。祐樹が決めてしまえば、四対二になって勝負は決まる。祐樹は健太のシュートがあまりにも可笑しくて、ニヤニヤと笑いをこらえるような表情でゴールの前にボールを置き、ニ~三歩下がると簡単にゴールを決めてしまい、喜ぶどころか、むしろつまらなそうな顔をしていて、それとは逆に一度もボールを蹴ることなく負けてしまった亮太はふて腐れた顔をして、健太と目も合わそうとしなかった。  「祐樹、健太がいたら面白くないから誰か探してもう一度やろうよ」ただうつむいたまま、その場に立っている健太のことなど誰も気にせず皆が話していると、そこに加藤先生がやって来た。  「まだサッカーをやっていたのか、もう下校時間を過ぎているから早く帰りなさい」  そう話しても和也はもう一度やりたくてしかたないみたいだったが、先生は首を横に振り皆にランドセルを持たせると、和也達の背中を押すように校門まで連れていった。  「えー、つまんないの」皆はそう言いながら家に帰り出していたが、一人遅れて後ろから来た健太に「山崎くん、誰だって最初からサッカーの上手い人なんていないからな」と肩を軽く叩きながら励ましていたが、健太は小さくうなずいただけで、何も言わずに行ってしまった。でも加藤先生には、今の健太に何を言っても何の励ましにもならないことなど分かっていた。  実は加藤先生はPK戦をずっと職員室から見ていて、皆がすごく盛り上がっていたのも分かっただけに、健太がシュートをまともに蹴られなかったのを見て、健太が皆に何を言われているのかがすぐに分かり職員室から飛んで来たのだった。  加藤先生は皆の後を少し離れて一人で歩いている健太の後ろ姿をずっと見つめていた。  家までの道のりを健太は皆とは少し離れて歩いていたが、その距離は少しずつ離れていくだけ。きっとこれも今の健太の心の表れなのか、その距離はどんどん広がって行くだけだった。  健太は前を歩いている皆の姿を時々見ながら歩いていたが、前からは「じゃあね、バイバイ」と楽しそうな声が聞こえ、一人また一人家に帰っていくけれど、誰も健太には声を掛けてくれず、家が近づくと前を歩いているのは亮太だった。  健太が自分の家の前まで来たときに前を歩いていた亮太が一瞬後ろを振り向いたが、やはり亮太はそのまま何も言わずに行ってしまった。  健太が朝日小学校に転校してきた時に最初に仲良くなったのが亮太で、きっかけは健太がランドセルに付けていた日本代表のユニホームをデザインしたキーホルダーキーホルダーだった。 小学校に入る前からサッカーをやっていた亮太、サッカーをやってはいなかったけどテレビでよく観ていた健太。そのキーホルダーを見つけた亮太が話し掛けると二人はすぐにサッカーの話題で盛り上がり、テレビをよく観ていた健太は日本の選手だけでなく、色々な国の選手を知っていて、亮太にとっては自分より沢山の選手のことを知っている健太とサッカーの話をするのがとても楽しく、亮太は健太をサンライズFCに誘い、健太も軽い気持ちでサンライズFCに入ること言ってしまったが、休み時間に皆でサッカーをして遊んだ時、あまりの亮太の上手さにビックリしてしまった。  サッカーをほとんどやったことのない健太は、そんな亮太達と一緒にやっていてもまともに出来るはずがなく失敗すれば皆に笑われる。最初のうちはそれでも一緒にやっていたが、そのうち誰も健太にはボールを回さなくなってしまったが、それでも亮太だけは健太にボールを回し続けが健太はミスをするばっかりで、そのうちに一緒にやっていてもボールに触ることなくただ見ているだけになってしまい、もともと自分からは友達に話し掛けることのないような性格の健太は、誘われなくなり、サンライズFCにも入ると言っていたのにいつまでも入らない健太に、だんだん亮太も健太から離れてしまったのだった。  家の前に着いた健太は、亮太の背中を寂しそうに見ていた。   「ただいま」  「お帰り健太遅かったね、どこかで遊んでいたの」  何も答えない健太にお母さんも何かあったのだなと思ったが、それ以上は聞かずにいた。  「昨日お父さんが買ってきてくれたケーキが冷蔵庫にあるから食べなさい、でもその前に手を洗ってうがいをちゃんとするのよ」  「ケーキは後で食べる、宿題があるから先にやっちゃうよ」   健太はそのまま机に座って宿題を始めたが、ズボンの裾が汚れているのを見てやっぱり学校で何かあったのだと思ったが、そのままそっとしておくと、しばらくして家の電話が鳴り、お母さんが出ると健太のことが気なって電話をしてきた加藤先生で、さっき皆でやっていたPK戦の様子をお母さんに話していた。  「そうだったのですか。帰って来るのも少し遅かったし、ズボンが汚れていたから何かあったんだなとは思っていましたが」  「私達も皆で山崎君が転校して来た当時みたいに友達と一緒に遊べるように頑張っているのですが、なかなか上手くいかなくてすいません」  「健太も自分からもう少し積極的に友達と接することが出来ればいいのでしょうけど…  「でもお母さん心配しないでください、学校には山崎君の応援団も沢山いますから」 「先生本当にありがとうございます、健太のことをお願いします」 電話をきった後、宿題をやっている健太の後ろ姿を見つめるお母さんの目には、うっすらと涙がうかんでいた。
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