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目を開けるとそこは、小高い丘の上だった。
後ろには大きな木がそびえ立っている。幹はとても太く、歴史を感じさせるものだ。
丘の下には木が生い茂っており、広大な森になっている。地平線まで木で埋め尽くされており、現代の日本ではないことをより一層感じさせた。
「ここが………異世界」
空には大きな鳥が飛んでおり、所々に浮遊している島?みたいなものまである。
月ほ赤く、兄弟みたいに大きい月に小さい月が一部を除いて重なっている幻想的な景色だ。
そんな光景に呆気にとられていると、何処からともなく声が聞こえてきた。
『あー。もしもし?聞こえてるかな?』
神様の声だ。
しかし、どこから聞こえているかわからずキョロキョロとしていると、右足に何かが当たった。
右足を見ると、白い小さな毛玉に大きな愛嬌のあるピンク色の目、大きな猫耳とふわふわな尻尾が生えている生き物が、尻尾で叩いていた。
「なんだこれ?」
そう言うとの同時に毛玉が登ってきた。
どこに登ってくるような手足があるのかは不思議だ。
肩にたどり着くと、俺の方を見る。
登ってくるときに少し悪寒がしたんだけど………。
『私だ、私。神だ』
神様の声はこの変な生き物から出てたのか。
『変な生き物って……まあいいか。それよりもとりあえず無事に目標地点に着いてきて良かった』
「そうですか…」
神がこちらをつぶらな瞳で見つめてくる。
やばい。可愛い
『今は私がこの生き物に憑依しているが、じきにこの生き物の意識が戻ってくる。そしたら、君の使い魔にするといい。見た目も君好みだろ?』
まあ、そうだけどね…。
『その前にひとつ言っておこう。是非とも王国に行くことをおすすめしておくよ。あそこは……私がかつて住んでいたからな。私の──からで───みはきっと────』
最後の方はノイズが混じって聞き取れなかったが、とりあえず王国に行くことは決定した。
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