王都にて 1

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王都の壁のほぼ真下に辿り着いたのは、森を抜けてからおよそ一時間半後だった。 「交通証またはギルドカードをお見せ願います」 王都内に入るためには、身分証明が必要なのである。 交通証は商業組合が発行しているもので、見た目はただのネックレスとなっている。 しかし、ネックレスのアクセサリーにあたる、小さな金属と皮でできたものには様々な個人情報がのっており、専用の魔道具──現代日本で言う、クレジットカードをのせる機械──を使って情報を読み取っている。 読み取ると、水晶を削って作られている水晶板に、個人情報が載るらしい。 ギルトカードも同様で、同じような仕組みになっている。 「俺は持ってるが、こいつは持ってないんだ。どうすればいい?」 「そのお姿は電狼様ですね。まあ、電狼様なら変な人を王都に入れないでしょうし……。この許可証を持って、ギルドに行き、カードを作成してくださいね」 ジランはもともと着ていた服にフードが付いていた為、それを被っている。 どうやら身バレ防止らしい。 話を聞いたところ、やはり人類最強らしく、称号があるのだとか。 ジランは〔音速の電狼(でんろう)〕と呼ばれており、素早い動きで相手を撹乱し、スパッとやるらしい。 門番は手慣れたものらしく、素早く紙に何かを記入すると、オレに渡してきた。 「あ、ありがとうございます」 「いえ、これも仕事ですので……。ところで、電狼様。いつ頃その素顔を拝見できるのでしょうか」 「誰が見せるか。アホ門番。大体、お前が敬語使うとか世界の終わりだろ」 「あははー。それは酷すぎですよー」 でも、門番とのやりとりを聞く限り、知り合いだよね…。 「あー、もう。分かったから。さっさと行きな。そうじゃないと逮捕しちゃうぞ☆」 「ふざけんな。じゃあな」 何故か最終的には門番が負けて、ふざけたのを華麗にスルーしたジランは門を潜っていく。 そのあとを慌ててオレは付いていった。
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