王都にて魔法を習う

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「まだまだよ!もっと早く走れるでしょ!?」 そう言いながら、オレの後ろを走る猛獣を増やしていく、ジランの師匠。 ピンクの胸ほどまである髪を紺のシュシュでサイドに軽くみつあみをし、前に流しており、丸いくりっとした目は黄緑色。 背が低く、165㎝程だろうか。 薄黒のカッターシャツに桜色のストールを巻き、黒いジャケットを着ている。 ズボンはジャケットと同じ色ものを履いていおり、靴まで気を使っているのか、革靴は黒光りしている。 そんな普通の人に見えていた、さっきまで。 なぜさっきまでかというと、それは数分前に(さかのぼ)る。 ジランがいなくなって5分後。 転移魔法でその人は現れた。 この部屋には転移防止結界が張っている、とジランが得意気に話していたのもあって驚いた。 「驚かせてしまってすいません。僕は姉鷺(あねさぎ)凜人(りんと)と申します」 そういいながら名刺を差し出されたので受け取る。 とりあえずどこにつっこんでいいのかわからない。 そんなオレの心境を知る筈もなく、姉鷺と名乗った人は口を開く。 「なんでも、あのジランくんに魔法を教えて貰っているそうですね」 「そうですけど……」 「あ、敬語はやめてくださいね」 「分かりま──分かった」 「それと、僕のことは他言無用でお願いします」 そう、最初はこんな風に礼儀正しくて、背が低めの可愛くて、雑談して盛り上がってたから、ジランから言われたことを忘れてたんだよね。
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