CHORNO-BOG

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 最初は、停電の余波なのかとも思った。数年前の計画停電の際も、電気の復旧後にはそこかしこに不具合があった。今回も何かしら影響があるのではないかと予想していたこともあって、わたしは比較的冷静さを欠いてはいなかった。  しかし、何分が過ぎても、何度リモコンを押してもテレビはつかなかった。その頃にはわたしも異変を感じ始めていたように思う。もしかして、コンセントが抜けているのだろうか。  そう考えて、テレビの裏側に回り込んだ時だった。わたしは息を飲んだ。  ケーブルが切られていた。  なぜこんなことになっているのだろうか。まったもって、事態が把握できていない。ケーブルが切られた? 誰がそんなことをしたのだろう、この部屋に入ることができるのは、わたしと未玖だけのはずなのに。  ……未玖?  停電のせいで今まで忘れていたが、さっきのはなんだったのだろうか。 『死ーねよ、ばーか』  あれは確かに未玖の声だった。だがあんなことを、未玖が言うだろうか。わたしは頭をかいた。おかしい、何もかもがおかしい。  次第に困惑が頭の中の大半を占めるようになった。テレビが使えなくては、状況の判断もできない。  もしかしたらと思いスマホでと試してみたところ、なぜかこの部屋は圏外になっていて、電波は届かなかった。固定電話からも、誰にも連絡できなかった。気がついた頃にはわたしは完全に誰とも連絡が取れなくなり、外の状況を知ることもできなくなっていた。  なら一度、マンションから出てみるというのはどうだろうか。  ちょうどそんなことを考え始めていた時だった。
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