CHORNO-BOG

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 一段落ついて、わたしは突然少しの空腹を感じた。夜も遅いし控えておきたいところではあるが、状況が状況だ、致し方ないだろう。  わたしは引き出しを開けて、その中に入っている柿ピーを取り出した。どちらが柿でどちらがピーなのかも分からず、やっぱりピーはピーナッツのピーなのかなとか考えながら食べ進めていると、その時ふと、頭の隅に本当に些細で小さな違和感を感じた。  果たして本当に、これで完璧なのだろうか。  わたしはエレベーターの隣を振り返る。見慣れた緑のマークの非常階段を視線の先に捉えた。エレベーターが停止した今、未玖は非常階段を登るしかない。だがこの階まで階段で登るには、相当な時間がかかるはずだ。  そして、その間に警官隊は必ず到着する。  それなのに、なぜだろう。何なのだろう、この違和感は。  わたしは首を振った。今はそれどころじゃない。非常階段の監視カメラは一階にのみ設置されている。そろそろ時間だろう。  わたしは再びシステムに踏み込んだ。そしてわたしがモニターを起動させたわずか数秒後に、思った通り拳銃を所持した未玖はカメラの前を通り過ぎ、上階へ向かって行った。予想通りの動きだ。本当に、狙ったかのようなタイミングだった。  だが、未玖がここを通り過ぎてしまうともはやわたしにはできることがない。わたしは焦りと不安、そして奇妙な違和感を抱えながらリビングへ戻った。
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