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男の死は裕美子の呪いと関係しているのかどうか,どうして学校のプールで死んでいたのかなど,さまざまな噂がSNS上で飛び交っていった。
そして男がプールから運び出されて数日経ったある日,水が抜かれたプールサイドに律子が立っていた。その手には花が握られ,男が最後に引き上げられた場所にそっと花を置いた。
律子の隣には裕美子が立っていて,その花を黙って見下ろしていた。律子は裕美子を一瞥すると,プールサイドをグルッと歩いて一周しながら裕美子に向かって呟いた。
「あんたが,駅で父親と楽しそうにしてるのを見てムカついたのよ。なんでかわからないけど。だから虐めた。それだけ。なのに,あんたはしつこいんだよ。尚子と英里を無残に殺して,あたしよりたちが悪いんじゃない……?」
裕美子はグラグラと不安定に肉塊を揺らすだけで,なにも言わなかった。
「で……あたしが動じないからって,この男を殺したんだ……?」
律子は裕美子を睨みながら,自分が置いた花束をプールの中に蹴った。水のないプールの底で花弁が散ると,辺り一面が真っ暗になった。
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