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――昼休み。
いつものように屋上で、昼食を取っていると階段を登ってくる音が近づいてくる。
(透かな)
そわそわして期待を募らせるが現れたのは美咲優だった。
「あ、なんだ。やっぱここに居たんだ。俺も一緒に食っていー?」
美咲は端っから俺の返答を聞く様子もなく隣に座って、購買部のパンを頬張り始める。
ケロッとした表情から先日の一件について反省はまるで感じられない。
(あれ、全部聞いてたってことだよな……)
美咲は一度出ていったフリをして、隣のベッドの陰に身を潜めていたらしい。
俺の喘ぎ声も発言も全部筒抜けだったということだ。
深く追求されない事を祈りながら紙パックのアイスティーのストローに口を付けると……。
「お前ってさー、ドMなの?」
思わず飲みかけていたアイスティーを吹き出しそうになる。
「いきなり何言い出すんだよ!」
「あはは、すげぇ動揺してる」
あの日、透にされたことを思い出す。
尿道に綿棒を入れて、泣くまで執拗に責められた。
迫りくる刺激が怖くて、イケないもどかしさが苦しくて仕方なかったのに
透の嫉妬に狂った表情を思い出すと今でも体が熱くなる。
「ああなったのは全部お前のせいなんだからな……っ」
「でも、感じまくってたじゃん。俺ってばいい仕事したなー」
軽く笑い飛ばす美咲がうざったくて、今すぐ殴ってやりたくなる。
怒りでわなわな震えていると美咲は俺の首筋に触れてきた。
「な……なんだよ」
「ここにキスマーク付けて、先生にバレたら次はもっと凄いことされるかもしれないな」
「は? 何言って……」
「理由もなくイジメられるよりも嫉妬を含んだほうが燃えるだろ?
俺が先生の嫉妬に火を付けてやるよ」
美咲は俺の体を後ろから引き寄せ、首筋に顔を寄せてくる。
反射的に思いっきり肘を引くと、美咲の腹に入ってしまった。
「うっ、ぐ……いって……」
美咲は悶えながら、腹を抱えてその場に蹲った。
悶える美咲を前にして罪悪感が生まれてくる。
「ご、ごめん……そんなに痛かった?」
気遣って肩を揺さぶろうとすると、
美咲は顔を上げて俺の胸ぐらを掴んで引き寄せた。
口端を上げて笑ったかと思うと、
首筋に唇を押し付けて強く吸い上げられる。
「っ……くっ……くそ、お前っ……!」
突き飛ばそうとした瞬間、美咲は俺の体をぱっと手放した。
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