喪女とイケメン

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喪女とイケメン

田辺 薫、27歳。独身、年齢=彼氏いない歴。 人は私のような女を喪女と呼ぶのだろう。職業は漫画家。とは言っても、定期的に仕事があるわけでもない。実際はアルバイトと掛け持ちで、とても漫画一本で自立して生活できるほどではない。コミュニティー能力に長けているわけでもなく、ただ惰性のまま生きている。そんな自分の生活にそろそろ年齢的に焦燥感を感じている。  そんな私の生活に、ささやかなご褒美ともいえる出来事が起きた。見た目通りどんくさい私は、自宅アパートの階段で足をくじいてしまったのだ。慣れないパンプスなど履いて、ハローワークに行ったのがまずかった。もう漫画で食べていけるかもしれないという夢を捨てて、どこかへ就職しようかと考えたのだ。だが、アラサー女に正規で働かせてくれるような甘い会社などなかった。  傷心のまま、二階の自宅へと帰る途中、階段を踏み外してしまい、足をくじいて動けなくなってしまったのだ。 「大丈夫ですか?」 私に声をかけてきたのは男性で、恥ずかしさから私は慌てて立ち上がろうとして、やはり立ち上がることができなかったのだ。 「救急車、呼ぼうか?」 男性の顔を見上げると、超絶イケメン!     
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