猛毒 一/致死率0%

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「素敵よ、日鞠(ひまり)も氷雨(ひさめ)君もよく似合ってる。」 「本当ね、すっかり大きくなって子供の成長はあっという間ね。」 テーブルに腰掛けて湯気の立つダージリンティーで一服しながら、こちらを見て微笑む二人の女性。 無条件に突き刺さる視線が少しだけ恥ずかしくて、私の視線が降下する。 「まさか高校まで一緒になるなんてね。」 「生まれた時からずっと一緒だものね、仲が良くて何よりだわ。」 「氷雨君、きっとモテモテね。」 「そうかしら、日鞠ちゃんの方がモテると思うわよ。」 勝手に想像を広げ、会話を弾ませている二人は私なんかよりも胸を躍らせているように見える。 「どうしたの、日鞠。」 すぐ傍から落ちて来た甘美な声。 それが無意識に私の顔を上へと向かせる。 「制服、似合ってるよ。」 切り替わった視界に映るのは、綺麗な貌。 比喩するならビスクドールみたいに繊細で儚くて、魅惑に満ちているその容姿。 色素の薄い栗色の髪を揺らしながら、私の頬へ指先を滑らせるその人物は紅を乗せたような唇に弧を描いた。 それだけで、西洋の絵画から飛び出てきたかと思うくらい画になってしまう。 「本当?」 首を傾げる私に対して頷いた彼は、私の髪を優しく撫でた。 「勿論だよ、可愛い可愛い僕の日鞠。」
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