猛毒 一/致死率0%

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強引に身体を引かれ、ベッドへと投げられる。 身動きをする隙などないままに私の上に跨ったひー君は、目を細めた。 ごくり。 私の喉が鳴る。 金縛りというものに遭った事はないけれど、こんな感じなのだろうか。 意識ははっきりとしているのに、身体が凍ってしまったように動けない。 「ふふふっ、可愛いね、日鞠は。」 怒っている。 多分、ひー君は今ご機嫌が宜しくない。 その原因を作ったのは他の誰でもない私で、いつだってうっかりした誤りをしてしまう自分に後悔を募らせるのはこれで何度目だろう。 「可愛く…なんかないよ。」 知ってるの。 自分の容姿がひー君のように優れていないって。 だって、小さい頃に保育園で沢山言われたから。 「ブス。」 「可愛くない。」 そんな言葉を投げつけられて、苦しくて泣いていたから。 流石に頭の回転が鈍い私でも自覚している。 それなのに、ひー君だけは違うの。 「可愛いよ。世界で一番、日鞠は可愛い女の子だよ。」 宝物にでも触れるような手つきで私の首筋を撫でるひー君だけは、昔からこうして私を「可愛い」と褒めてくれる。 自己嫌悪している容姿に対しての劣等感を、ひー君の言葉がいつだって埋めてくれる。 「可愛い、僕だけの日鞠。」 これもひー君の口癖だ。 それからひー君は、「妖艶」そんな言葉がぴったりな表情を浮かべて、私に言うの。
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