猛毒 一/致死率0%

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こういう時、ひー君から目を逸らせない。 上手く説明ができないけれど、逸らしてはいけないと、身体が覚えている。 「僕だけの可愛い可愛い日鞠。」 依然、憤りを瞳に宿らせる彼に組み敷かれた私を支配するのは、恐怖でも歓喜でもない。 強いて言うなら、服従心に近い物。 「好きだよ、日鞠。」 私の世界はひー君だけ。 ひー君は、生まれた時から変わらず、ずっとっずっと私の傍にいてくれるの。 醜くて、ドジで、何の取り柄もない私なんかを見放さずに隣についててくれる。 「うっ……。」 首筋を這っていた冷たいひー君の手が、唐突に私の首を締め付ける。 酸素を奪われ、苦痛に歪む私の顔を満足そうにひー君は見つめている。 締め付けは窮屈になる一方で、徐々に意識までもが遠のいてくる。 本能がこの苦しみから解かれたいと切望する時、甘美な声が降りかかる。 「日鞠、愛してるよ。」 「…ひー君……。」 「日鞠は僕の事愛してる?」 無邪気に首を傾げて笑うひー君は、どんな表情をしていてもとても綺麗だ。 「愛してるは?」 朦朧とする意識の中、私は必死に首を縦に振った。 「愛…してるよ。」 嫌いなわけがない。 だって、私にはひー君だけだから。
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