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しかし、前述の通り人付き合いが苦手な僕は、当人に文句を言えるはずもなく、ましてや懇意にしているオーナーに煙たがれるわけにもいかないので、別に構いませんよ、と短く返事をすると、彼女の後ろの席へと腰を降ろした。
彼女は僕が後ろを通ったとき、読書で落としていた視線を少しあげたが、何事もなかったかのように、また視線を本へと移した。その瞬間、僕の視線が捉えた彼女の顔は、悔しいけれども、どきっとしてしまった。あまり外に出歩かないことを容易に連想できるほどに肌は白く、髪が揺れた時に舞いあがったシャンプーの香りが、女性に免疫のない僕を苛める。
僕は気分を紛らすために、テーブルに本を積み上げ、読書に集中する。そういえば読みかけの小説はちょうどクライマックスに差し掛かっていたところだった。早く読みたくてうずうずしながら、この時間を楽しみにしていたのだ。
気をとりなおし、小説を開き、本の世界へと身を投じた。
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