29人が本棚に入れています
本棚に追加
「前から思ってたんだけど。――何でそんなオヤジみたいな格好なの」
呆れたように笑われた。
か――っ! 何かムカつく。
元は同い年の従弟だから、いや、今もだけど、蒼は本当に何でも正直に言ってくる。あたしに対しては遠慮なんてしない。
大人しいはずなんだけどな。大人しいんだけどいざ口を開けば容赦しない。――「部屋汚い」、「お皿洗ってない」、「野菜ジュースばっか飲んでどうすんの」など、よく考えたら1人暮らしのことばっか……よほどあたしの生活が気になるんだろな。
仕方ないじゃんね。生きてるんだから許してよ。
正直が故に、大人のことをする時間だってとにかく何でも口にするし溶けちゃうくらい甘いんだから憎めない。
だから今もそんなことを言う。パーカーを着て、グレーのスウェット姿のあたしを見るなり「オヤジ」発言だ。
女の子っぽい……ふわふわもこもこの部屋着を選ばなかったのは、紛れもなくあたし自身。ちょっと自信がないというか。
まずそういう部屋着って夏だったら暑いし!
そこで女の子っぽくなってどうすんのって話だし!
「休日くらいいいじゃん」
「休日だけど。まさかそれで外出たりしないよね?」
「しないよぉ。今日はもう外出ないからいいでしょ」
最初のコメントを投稿しよう!