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カランカランカラン
さて、前にも書いたが今日は十二月二十四日だ。良い子にしていれば、夜にサンタさんがやってきてクリスマスプレゼントを置いていってくれる。そんなことを信じていたのは、小学一年生の頃までだったが。
二年生になると親の行動を疑いはじめ、寝ているふりをして正体を探った。思った通りサンタさんは両親だったので、僕は大いに落胆して、その日からプレゼントの話しはしなくなった覚えがある。懐かしい話だ。
ガランガランガラン!
音が大きくなってきた。近所迷惑ではないか、とは思わない。好美達が起きてこないのを見るに、この音が聞こえているのは僕だけだ。音は玄関の方角から聞こえてくる。
トントントン
ドアをノックする音だ。チャイムを鳴らせば良いのに。
実はこの日記を書き始めた時から後悔をしている。設楽さんを家に呼べば良かった、と。家そのものをお祓いしてもらえば……だが、後悔しても遅い。
物言わぬ霊はずっと僕達を見ていた。見ているだけで、我儘を言えなかった。言う口がなかった。
――イ イ コ
声が聞こえた瞬間、家全体が震え、ドアがゆっくりと開く。
現れたのは、血が付着した袋を背負ったサンタクロースだった。黙って良い子にしていた水子へのクリスマスプレゼント。
ガラガラと鳴るおもちゃが僕の前に差し出された。
思わず顔をあげると、無いはずの目が笑っているような気がした。
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