2人が本棚に入れています
本棚に追加
仕立て屋は黄金色の鎧を運んで参りました。
「王様は国を治める唯一無二の騎士!そのバカみたいな筋に……げふんっげふんっ……威厳ある肢体を包むには、もはやこれ以外にございません」
要するに布はダメだと判断した仕立て屋。しかし、当の王様は大喜びです。腰をるんるん振りながら鎧を装着しました。
「なんと!仕立て屋!わかっておるではないか!いかにもこれは王たる私が着るにふさわしい衣装!礼を言うぞ」
「もったいなきお言葉。しかしながら王様、くれぐれも所作にはご注意くださいませ」
「む。その心は?」
「えーっと、ですから……いきなり激しい動きをするとか極端に力の入るポーズを取るとかはなるべくお控えに」
「力の入るポーズ?……ああ!これのことか!ほんぬおおおおおーーー!!」
合点がいった王様はくるりと仕立て屋に背を向け、とどめ言わんばかりに広背筋を隆起してみせました。
バック・ラットスプレッドと言います。
鎧は爆発したかのように粉々になりました。
「………………」
最初のコメントを投稿しよう!