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私は急いで床を整え、姫様の体をそっとベッドに横たえました。姫様の唇は青く、顔は真っ白になっています。二枚貝のベッドの中で力なく横たわる彼女は、今、何を考えているのでしょうか。
「姫様。ゆっくりとお休みなさいませ」
姫様はすでにまぶたを閉じています。私は彼女に一礼をして部屋を出ようとしました。
そのとき。
「……」
「……姫様? いかがなさいましたか?」
姫様が何かをつぶやいたような気がして、私は振り返りました。
「……どう、して……」
かすかな、本当にかすかな声が聞こえてきます。
「ねえ……どうして……」
それは、間違いなく姫様の声でした。かすれた声で、それでも必死に絞り出そうとする声。あの夜のことを思い出し、私は一瞬寒気を覚えました。
きっと彼女も思い出しているのでしょう。あの夜の出来事を。
「どうしてあの方を……殺したの……?」
かすれ切った小さな声なのに、その声は私の耳の奥に大きく響きわたります。
あの方を。殺した。
ええ、そうですとも。
私が、姫様の想い人を、この手で殺したのです。
「姫様……その理由は、今まで何度も申し上げたとおりです」
「どうして……!」
私が静かに答えると、姫様はベッドから体を起こして叫びました。私を見るその目は怒りに満ちているはずなのに、それ以上にうつろな影に沈んでいました。
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