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鉢植
「大樹、ちょっとこっちに来なさい。」
初めて会ったのは記憶も朧げな幼稚園児の頃。庭に植えられた桜の樹の絵を夢中で描いていた俺を呼びつけた父に紹介されたのが、日比谷 涼太郎だった。
「はじめまして、大樹様。今日から仙崎家にお仕え致します、日比谷と申します。こちらは息子の涼太郎です。」
仲良くしてやってください。
真新しい執事服に身を包んだ優しそうな男性に連れられた1つ年上の男の子。白いシャツに黒いハーフパンツのその男の子はぶっきらぼうに少しだけお辞儀をしたけれど、耳が綺麗な桜色になっていたことに僕は気付いていた。
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